《MUMEI》

動け、動け、動け………!


ただそれだけを願って、足を動かした。

ボスが何処に居るかは、もう判断出来ない。しかし、一階一階見てボスを探して、ハルを救うのも性に合わない。

だから、勘で行く。


俺の頭は地下三階だと言っている。だから、迷わず地下三階を目指す。ボスが居なかったら、また考えればいい。


だから今はただ走る。


最後の十段を飛び越えて、地下三階の空気を味わう。直感が言った。この階だ。

それを確かめる間も無く、階段から廊下へ繰り出す。右から回ると、左からも道は続いているようで、右の道と合流した。その先からは長い一本道が続き、途中に個室はひとつも無い。

そして漸く突き当たりに見えた、大きな鋼鉄の扉。


ギイィィィイ


重苦しい音が軋み、扉の内側が瞳に映さ。れる。そこには、巨大な蝶と剣を既に抜いたハルが向かい合っていた。


「ハル!」


叫ぶとすぐにハルは此方を見た。来ることは予想していたようだ。怪我は無く見える。

「あら、カケル。遅かったわね。まだ攻撃は受けていないけど、どうするの。私、こいつに触ったわよ。」

自慢気に振り返ったハルは、ふんと鼻を鳴らして、巨大蛾に向き直った。

「ハル、待ってくれ。こいつは俺がやる…!」

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