《MUMEI》

言葉も少なく歩いてたとき、ジュリの携帯電話が鳴ってた

ごめんね

そう言って、電話に出たジュリは

はい……うん、私が悪いの、
誰かに話して楽になりたかったのかも、
………うん、ごめんね
……今、それどころじゃないから切るね

電話を切ったジュリが

あの人から……プライド傷ついたかもね
私のせいね
でも、向こうも生温い事考えてたんだから、お互い様よね

そう、俺に言ったんだ

……歳上をバカにしたくないけど、俺、引けないから

足を止めて、ジュリに話したんだ

……たくさん、話したいことがあるの

ジュリ、そう言って俺を見つめてた

俺も……

…別れたくない

うん……埋めようよ、溝を

……恐いわ…

……俺もだよ

マオミに、立ち会ってもらう
私の嘘、マオミなら、すぐわかるから

うん、俺も、マオミさんになら
恥を見せれるから
それに………こんな、優しい人を、俺、知らないよ、
ジュリの親友……素敵な人だね

うん……

取り合えずキスでもしたら?

マオミさん、真顔で言ったんだ

今はダメ……感情的になっちゃうから

俺の言葉に、ラブホを指差し

すぐ近くにあるわよ

からかうように言ったマオミさんだけど、真顔なんだ…

欲しいのは、身体だけじゃないから…

……完全に、失恋ね、私…
トコトン付き合ってあげるわ、
私ね、ジュリ、大好きなの、翔、貴方も大好きよ

……ありがとう、マオミさん

第三者は要らないわよね、でも、マオミは……

うん、マオミさんは、当事者だもん
仲間だもん……俺、マオミさんと仲良くしたい

うん………三人で話そう

うん

…………

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