《MUMEI》

「……久しぶりだな。まだそんなひ弱そうな奴らといるのか……。」

「下がっていろ。」

斎藤は千鶴を後ろに下がらせると静かに抜刀の構えをする。

「鬼に刀を向けたこと…地獄の底で後悔するがいい……。」

戦いが始まった。
しかし、一方的な展開で斎藤の隊服から血が滴っている。

何度も何度も斬られても斎藤は立ち上がる。

「もう………立ち上がらないでください!私があの人についていけばいいんです!」

千鶴が叫ぶと風間の刀は止み、斎藤の体が力なく崩れ落ちる。

「…ひとつ機会をくれてやろう。」

風間の手に血のような赤い液体の入った瓶。

「紛い物の鬼となって俺と戦うか……人間の誇りとやらを胸に息絶えるか………。」

その手の赤い液体は『変若水』。超人的な力と回復力を手に入れる。しかし、光に弱くなり日中動くことが困難になる。さらに吸血衝動が起きる他、力を使うと寿命が縮まり、ついには灰となって体が消えてしまうのだった。

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