《MUMEI》 斎藤は目の前に落ちている赤い液体の入った瓶を躊躇なく掴む。 中身を飲み干すとあの夜見たような白い髪に赤い目に変わっていた。『羅刹』という。 「フン………勝つために自ら変若水を使うか…………貴様には誇りというものがないのだな。」 軽蔑するような口調で風間が言う。 「………これが俺の誇りの証だ。新選組が彼女を守ると決めたなら…何があろうと守り抜く。」 再び二人が切り結ぶ。しかしすぐに天霧によって止められた。 「おやめなさい。風間、薩摩藩の方が呼んでいますよ。」 「チッ………女鬼はしばらく預けておく……。絶対に死なせるなよ。」 風間は言い捨てると天霧と共に去っていった。 『たとえ羅刹になったとしても守り抜いてみせる…………新選組が彼女を守ると決めたなら。』 千鶴はただそれだけの理由で羅刹になってしまった斎藤の姿を見て、自然と涙が溢れた。 前へ |次へ |
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