《MUMEI》 ある夜、沖田と千鶴は屯所の庭にいた。 長椅子に腰かけて沖田は月を見てふと呟いた。 「……太陽が無くなると月は輝けないって………。」 「??沖田さん?」 「でもさ。太陽が無いと一人じゃ夜道すら照らせない………。太陽の代わりに輝くことが出来ない……。」 「どうしたんですか…………?」 「僕はこんな体じゃ役に立てない………。」 沖田の体は病魔に蝕まれていた。 「………この世に役立たずなモノは無いと思います。沖田さんは充分皆さんの役に立っていると思いますよ。」 「………!ありがと。千鶴ちゃん。」 沖田はふわりと微笑んだ。 部屋に戻ると刀を鞘から少し出して自己暗示のように呟く。 「大丈夫。僕はまだ戦える。」 その後、千鶴を守るため沖田は変若水を飲んで羅刹になった。 前へ |次へ |
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