《MUMEI》

そは虚空のオアシス 青き宝玉
生命−いのち−充ち満ちる場所−ところ−

乙女達の歌声と美しい舞いは、なおも続く。
日本神話の中で天照大神が天の岩戸に
隠れ、世界が闇に包まれた時、裸身で踊るアマノウズメの姿に神々が騒ぎ立てたために、何事かと顔を覗かせた天照大神を、怪力を持つ神タヂカラオが外に引っ張り出して、世界は光を取り戻したという。
雨に打たれ、濡れた白い絹をぴったりと
身体に張り付かせたまま踊る乙女達は、
みずみずしい乳房や恥毛まで透かし見せ、ひたすら舞いに集中する表情には、
エロスと神々しさが同居している。
この場の光景を見た者の口伝えが、後の時代に古事記に書き記された、天岩戸神話の原型なのではないか?
そんな事さえ疑わせる乙女達の妖しい舞いに、大和王権の兵士達も、魅いられたような顔になっている。
しかし茫然とする兵士達の中から野卑な笑い声が上がった。
「この期に及び、女の色仕掛けでたぶらかそうとは笑止!!」
「そうだ!アラハバキの妖怪女どもにたぶらかされるなー!」

ピュン!!と長弓の弦の鳴る音がして、
一筋の矢が踊り子達に向け放たれる。
それをきっかけにするように、全体的に見ればまばらだが、次々と数十の矢が
アラハバキ側に飛来した。

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