《MUMEI》

夕方、みんなで食事に出掛けたんだ

大きなショッピングモールがあって
小物や服を見て歩いてから、なにか美味しいもの食べようって

なに、ヒソヒソ話してんの?

振り返り、ジュリがアケミさんに言ってた

クスクス、別人よ、本当に

でしょ?……こっちの気持ちも知らないで……

マオミの気持ちは理解してるわよ、
だからって、変に気を使われてもアンタ嫌でしょ?

まぁね、手でも繋いだら?
ピッタリ寄り添っちゃって……始めてみたわ

マオミさんが言ったんだ

……いつもは手、繋いでるわよ、ね、翔

あ、うん…

昔の男と買い物してるときは、そんなこと無かったわよね
荷物持ちかと思ったもの

マオミさんの言葉に

会ったことあるの?

そう聞いたんだ

ダブルデートしたのよね、何度か
喧嘩しちゃぇ
旅行も行ったのよ、泊まりで

すんごく悪い笑みで、俺に言ったんだ

初耳だった

あったわね、忘れてたわ

ジュリが言ったんだけど、なにか、隠してるって、思ったんだ

わかりやすいよ、ジュリ…
俺を見ないで話すときは、なんか有るんだよな…

なんだろう、少しゆとりが出来てきたのかなぁ
前よりヤキモキしないや…

好かれてるって実感があるからかな

その時、ポッチャリ彼氏さんの友達とバッタリ出くわしたんだよね

この前はごめんね、

軽いのりで、ジュリに話し掛けてきてた

ジュリ、完全無視してる

マオミさんも、話しかけられてたけど…

……悪いけど、今日は遠慮してくんねーかな

ポッチャリ彼氏さんの言葉に

なんでだよ、飯食いに行くんだろ
一緒に行こうぜ

お前ら、嫌われてるのわかるだろ?

謝ったじゃねーかよ
ダチだろ?

俺とお前はな、けどよ、翔とお前はダチじゃねーだろ?

細けーこと言うなよ、
ジュリ、この前の詫びにおごるからよ

ジュリは無視を通してる

ウザいよ、アンタら

アケミさんの言葉に、ムッとしてた男たち

……軽いのりで口説けないよ、マオミもジュリも
口説いてくる男、たくさんいるのよ
変なことしなきゃ、仲良い友達ぐらいにはなれたかもしれないけど…ムリよ、もう

そうだな……そろそろ大人になれよ

んだよ……

……アケミの親友たちなんだ
アレは、ねーだろ?
なめてんのか、俺を

そんなんじゃねーけどよ…

謝ってねーよ、軽いぜ

けどよ

能書き要らねーよ、
せっかくアケミが綺麗所を呼んでくれたのによ
台無しにしやがって……まぁ、翔には勝てねーな…良い奴だせ、コイツ
ジュリと付き合ってんだ、俺の仲間の女に手を出すってのなら……

そ、そんなんじゃねーよ……

マオミは、フリーなんだろ?

ごめん、間に合ってるから

マオミさん、すごい冷たく言ってた

頼むよ、怒らせないでくれよ、な

わ、わかったよ、行こうぜ

男たちが退散してた

………あんなんだけど、良いところもあるんだぜ

ポッチャリ彼氏さん、ホローしてたな
スンゲー困った顔してたけど

なに食べる?

話題を切り替えたんだ
俺、そんなことしたの初めてかも

え、あ、うん、パスタが食べたいかな

いきなり話し掛けられたアケミさんが、ちょっと、戸惑ってたんだ

俺、自分からアケミさんに話し掛けたのって、初めてかも
話題をふられたら話してたけどさ

…………

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