《MUMEI》

胃が痙攣してた
脚に、力が入らない

ナメてる、こいつ
追撃が来ない…

嘔吐を堪えた

息が苦しい、

自分の拳で、自分の脚を殴ったんだ

感覚が戻ってきた

浅く、呼吸した
大きく呼吸すると、身体が動かなくなるから
それは、経験してたから

コイツ、堪えやがった!

男の声

酸素が足りねー、苦しい、けど
脚を踏ん張り、男に拳を放ったんだ

なるほどね、そうやって避けやがったのか!

前屈みにステップインして、俺の拳を避けてるんだ
ボクシングみたいに

ガン!

空振りした腕をそのままに、回転しながら身体ごと、ぶつかってったんだ

反対の腕の肘を、避けた辺りに、向けて尽き出した
見事、顔面命中だ

ちっ……ウゼーな

転んでた俺が、立ち上がるの待ってやがった
コイツ、トコトンナメ腐ってやがるな!

男が構えた、
ステップを刻んで
ボクシングか、知るかぁ!!

………ふうっ、ふうっ、ふうっ

止めて、もう、止めて!

ジュリとマオミさんが、泣き叫んでた

何発も殴られたけど、奴の首を捕まえたんだ

おい、喧嘩してんぞ、警察呼べ

そんな声が聞こえてた

ほら、行くよ!
翔!来て、将来に傷がつくよ!
カズ!アンタ帰りなさいよね、もう来ないで!

ジュリとマオミさんの声が聞こえてたけど……

脚が、動かなかったんだ…

………………

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫