《MUMEI》
譲れない事
マオミさん、俺とジュリを二人きりにさせたんだな…

ジュリの膝の上に頭を乗せ、目を閉じてた

……身体中がきしんでる

ジュリの指が、俺の頬に触れてた

何も、話さなかったんだ

………どのくらい時間が経ったのかな
マオミさんが戻ってきたんだ

寝てるの?
ちゃんと話せた?

小声でマオミさんが聞いてた

ううん、何も、話してないわ…

………話しとけば良かったのに

うん、隠してたんじゃないよ、
まだ、話したくなかっただけ

寝たふりもめんどくさいから

襲われなかった?

目を閉じたまま、マオミさんに聞いたんだ

そこまでバカじゃないわよ

マオミさんが答えてたんだ
気配でわかる、あの男も居るって

ジュリ、タバコ頂戴

ゆっくり身体を起こして言ったんだ

ごめん、持ってないわ

俺のでいいか?

テーブルに置かれたタバコ

男を見た

…………ふてぶてしい奴だ
けど、イケメンだな……

とょっと、喧嘩はダメよ!

マオミさんが、男に釘を刺してたんだ

俺は詫び入れたぜ、

男の言葉に

俺に詫びてどうする?
ジュリに謝れ、突き飛ばして乳もんだろ

翔……私はいいわ

そう、じゃぁいいや
俺は、売られた喧嘩を買っただけだからさ
次は、トコトン行こうぜ

男を見据えて言ったんだ

……止めとくよ、喧嘩じゃねーだろ?

殴れば黙ってくれたのか?
温いことしてきたんだね
お前、そんなに強くねーぞ

……ムカツク小僧だな

ナメってからだよ、余裕噛ましやがって

本気でやったら死んでるぜ

本気になれなきゃ、お前が死んでるだけだ

………ちっ、ウゼー野郎だ

自分が差し出したタバコを吸ってやがった

…どこいくの?……

トイレ……
まさか、ここで悪さはしねーだろうしさ、

わたしが見張ってるわ

うん、マオミさん、お願いね
悪さしやがったら、脳みそ引きずり出して、ぐしゃくしゃにしたるから、報告してね…

そう、言い残し、トイレに行ったんだ

…………

………

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