《MUMEI》

血尿……あのときもそうだったな…

腹にアザが出来てた
内出血だ……

熱が出てきてるな……弱っちい、身体だな

顔を洗ったんだ

うがいもした

赤い……口のなかを切ってるんだな…

……トイレからでると、ジュリが待ってたんだ

……そんな顔すんなよ
大丈夫だよ、わかってる
ジュリがその気なきゃ、してねーんだろ?
指だけか?

………ゆっくり話すね、後で

うん……

最後までするつもりはなかったし、
マオミも居たの、そのとき

後で聞くよ

……うん

部屋に戻ると、仁王立ちしてマオミさんが怒ってたんだ

どしたの?
なんかされたの?

……なんもないわよ、コイツのバカさ加減にイラついてるだけよ

復縁迫られてるの?

私の事はいいわ、
翔、病院、行こう

やだよ、みっともない

手加減しないで、コイツほんとバカよ

手加減されてたよ、だから、ムカついたんだ

え?…

腹ばかり狙った来やがったしね、
けど、取っ捕まったらアッパーが来たよ、鼻狙ってさ

よくわかってんなぁ、お前

なら、わかるだろ
呼吸を止めに来たから首つかんでやったんだよ

……バカ力だな、お前

力がなきゃ守れねーだろ?
お前の力は誇示するためか?
ちいせいな……

………翔、バカの話しも要らないわ
ジュリと話し合って

ん………焦って聞かなくても、さ

翔……変な壁を作らないで、ジュリは…

うん、俺に惚れてるよね

マオミさんの言葉を遮って、そう言った俺は、奴のタバコに手を伸ばしたんだ

俺もジュリに惚れてる

そう話し、タバコに火を点けた

ゆっくり煙を吐き出してから

こんだけ良い女なんだ、色々あったろうね
仕方ないよ、男が群がってくるしさ
けど、俺をナメて、ジュリまでナメてくるなら、トコトンだ……
引くことはねーよ……

男を見据えて言ったんだ

……なるほどね………覚えとくよ

臭いな、この部屋…

お前がゲロったんだろ?
……ジュリ、スゲーな、お前…

なにがよ?

いや、……出来ねーよ、普通さ

特別な事はしてないわ
翔を冷静にさせるには、キスが一番なの、
それに、翔…私の膝枕で休んでくれてもの
慌てて言い訳する必要もないわ
マオミ、アンタらの話に付き合うわよ

………私はもう、用ないもの
邪魔かなぁ?
私が翔を好きでいたら?

ううん、邪魔じゃないわ

…ありがとう、ジュリ…

……お礼なんて止めてよ…
たまたま、私だっただけ……

………でも、翔の今カノは、貴女よ、ジュリ

…うん……負けないように、頑張るだけよね

んだよ、二人で翔を争ってんのか?

………違うわ、太刀打ちできない女が居るのよ、二人ね…

そうね、二人よね………

譲れない、これだけは絶対譲れない…

………ジュリ、女の闘いは闘争心じゃないわよ

うん……爪、切ったんだ
ネールはするけど、家事の邪魔だから
髪も切ろうかなぁ
翔、ショートヘアー好き?

え?……

なんかさ、新しい自分を作りたくって
女の魅力を振り撒くのは、もう、必要ないから
でも、もっと綺麗になってみせるからね…

う、うん……

………あーあ、ジュリが本気出したら、勝ち目無いわね…

必死なだけよ……ただ、必死なだけ
薄っぺらいよね、わたし、
なにやって来たんだろって、思っちゃう……

そうね、私も人の事言えないわ
本物見つけちゃったね

うん……見つけちゃった

一緒に暮らしちゃえば?

ダメって、言われたゃった、お母さんに

話したの?、翔のこと

うん、毎週末、お泊まりだもん
わかるわよね

……無かったよね、今まで

………うん、無かったね
泊まるのめんどくさいもん

……話したの?、大学のこととか

うん、そしたらね、アソバレテ捨てられても泣くなとかって言うのよ、お母さん、
娘にそんなこと言う、普通!

くすくす、でも、異世界だものね

だからって……なんか、ショックよ、母親にそんなこと言われるの

わかるわ……

なぁ、なんの話なんだよ
異世界って何だよ?

アンタには関係無いわよ!

……………

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