《MUMEI》

マオミ、本音を聞かせて、
あのとき、何で翔を迎えに来させたの?

……ジュリの別れ話の時?

うん……

ジュリは…ね……気がある男に対して癖があるのよ

癖?

そうよ、意識してたんでしょ?、翔を…

…………どんな癖?

初めは人見知りしてるけど、何かの切っ掛けで仲良く話し出したとき
態度があからさまに誓うのよ
それでいて、急に引くの……相手が自分に興味があるのか、確かめてるのかな?

…………そう言う駆け引き、好きだったわね

………自分からは絶対行かないものね?

うん、そうだったわね

……過去形ね

うん

……だから、翔を行かせたのよ
話ししか、聞いてなかったけど、ずるいタイプの男だなって、私は思ってたから……
もう、そろそろ、潮時なんじゃないかなって……
お節介だけどね、そう思ってたから

……うん、潮時は、とっくに過ぎてたかな……好きだった想いを、失いたくなかっただけなのかも…わりと、冷めてた、

でも、身体は満たされてたんでしょ?
私はカズにそうだったわ
知り尽くされてたのかな…

それは、あるわね……

私はね、翔をつまみ食いしてみたかっただけなの、初めはね

……私もよ、言いなりになりそうな、年下の男も、悪くないかなって…
いつからなの?、マオミ

わかんない、気付いたら…
ジュリは?…

……わかんないよ
強く、自覚したのは………
……逃げようとしたときかな…楽な方が良いのに、私の中の私が、それを拒んでた……取り返しつかなくなるよって…

……最近じゃない

うん……目が覚めたわ
逃げれないもん……あがくなら、前向きにあがくわ

翔はいつからなの?

え?………わかんないなぁ
気付いたら、夢中で追い掛けてた……
今だって、追い掛けてるし

ベタぼれよ、ジュリ

ん、好かれてる実感はあるんだけど、
油断してたら………そんな、不安って言うか………まだ、足りないって…

マオミさんが、脚を抱えたんだ

割れ目が丸見えになってた……

………どうして、私じゃないんだろう

そう言った、マオミさん

マオミ……わざと?

え?…………あ!

慌てて脚を下ろして、シャツで隠してたんだ

なによ………ムカツク…

ジュリに、耳を引っ張られた

痛いよ…

…………

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