《MUMEI》

最初は先生も、話しかけていた。

でも次第に、他の生徒から言われて、私いいじめるようになった。

『先生、誰に話しかけてるの?』

私はその場にいるのに。

みんな、見えてないの?って。

そんなこと、絶対にないから、いじめって言うんだけど。

教室に入ると、クラスメイト達が本を読んでいた。

朝読書の時間か。

入っても、誰もこちらを向かない。

ドアの音はするのに。

私はこの瞬間が、不思議と好きだった。

誰もが緊張して、見るからに私だということを意識して向かないようにしている。

それがわかる。

だから、好き。

こうなったら、私が喋らせてやろう。そう思った。

私が話しかけて、相手が喋ったら私の勝ち。

徹底的に無視され続けたら、相手の勝ち。

私のなかでは、もう勝負はついているつもりだった。

“みんな、演技下手すぎ。”

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