《MUMEI》

劣勢に立たされた旧幕府軍は最後の抵抗を試みた。

箱館での戦いでまたもや風間と出くわした。

「てめぇは何故俺達の邪魔ばっかりすんだろうな……。」

土方が憎たらしそうに言い捨てる。

「それこそが宿命だからだろう。」

互いの刀が火花を散らし、ぶつかる。
土方の髪は白くなっていた。

「貴様に鬼としての名をくれてやろう。」

刀がピタリと止まる。
風間は近くにあった桜の巨木を見てから続ける。

「『薄桜鬼』。舞い散る桜の如く儚い命を燃やし、潔く散る様にはお似合いだろう?」

土方は面食らった様に固まる。

「そんなものの為だけにここまで戦ってきた訳じゃねぇんだがな。……だが、鬼としての名前も悪くない。」

二人はもう一度間合いをとる。
刹那、戦いが再開された。

千鶴はただその光景を見ているしかなかった。

桜が舞う丘の上で………。

        土方 歳三 編 【完】

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫