《MUMEI》

「うわっ、マジで?
じゃあなんだ、クオーターとかか?」


「いえ…一応血筋はハーフなんですけど…、父親がドイツ人だったんですけどね、母と結婚する前から日本に帰化してたんで…、
それに俺が小さい頃に離婚してるから…」






この話するの何度目だろうと考える。

いや、何時もじゃ
あんまりノリ気で話してない。





何かね、父親の話はあんまり好きじゃない…





――でも何か今俺、普通に話してる…。





嫌な感じがまるでしない…





何でだろ…。





「ふ〜ん、なるほどな〜、人各々色々あるもんな―……
あ、俺の名前は
伊藤秀幸、宜しくな」





ニコッと笑いながら手を指し延べられた。






俺も自然に右手を伸ばし、握手を交わす。

「はい、宜しくお願いします」





暖かい手の温もり…





何だか凄く安心する
……








俺は伊藤さんを
凄く気に入った!

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