《MUMEI》
美川さん
残業を終え、ガラス張りのエレベーターから、街を見た
金曜日の夜、街は華やかに見えた

ったく、仕事嫌いなのにさ
9時かよ…腹へったなぁ…

社のエントランスは人影もまばらで、
照明も少なく
受け付けには誰も居ず、警備員が立ってたんだ

首からぶら下げてる社員証を、警備員に見せ、外に出たときだった

おす!

菊川!……

声を掛けてきたのは、菊川だったんだ、

本当に、知り合いなのね?

美川さんも、居たんだ…

食事、付き合うわよ

菊川の言葉に

肉は止めてくれよな、給料前なんだよ

割り勘で構わないわよ、行きましょう

美川さんを訪ねてきたの?

そうよ、そんで、アンタを待ち伏せしてたの

あっそう

口癖、それ?

知らねー

めんどくさいなって、思ったけど
会社まで押し掛けてきたら、行くしかねーよなぁ

居酒屋かよ

割り勘だから高い店には行かないわよ

んだよ、それ、

俺の目の前に、菊川と美川が並んで座ってる

お通しを食べ、ビールを飲んだんだ

菊川が、昔俺がにコクってふった話をしてやがった

そんなことがあったんだ?

うん、まさか、こんな繋がりがあるとは思わなかったわ

どうして、ふったの?

どうしてって、彼氏居たし、間宮、汗臭そうだったしね

スポーツは嫌いなの?

あのねぇ、アンタが好きだからって、みんなが好きになるわけじゃないわよ

そうだけど、仲良さそうだから

鈴木さん、旧姓宮川さんと間宮、小学校同じなんだって

嘘?!

凄い偶然よね

そうなんですか?

俺に、敬語で聞く美川さんに

ん、そうだよ

そう答えたとき
店員が料理を運んできたんだ

おっ、来たぜ、食べようぜ

美川さんの視線を無視して、箸を伸ばしたんだよね
面倒な話になりそうだな
そう、思ったよ



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