《MUMEI》 「そっか……なら、仕方が無い」 それ以上 何も聞かない 聞けない さっきとは違う 静けさが訪れた 「あんたも大変だけどさ、みんなそんなもんだって。ちょっとちがくたって、大丈夫」 その静けさを開いたのは 一之瀬君で ちょびっとだけ 意外だった 「ありがとう」 「いーえ、こちらこそ」 その言葉に違和感を感じて、私はすぐに聞きかえしてしまった 「こちらこそ?私、何もしていないんだけど」 すると 一之瀬君は 目を見開いた 「俺に向けて話してくれてありがとうってこと」 私はまた 赤くなった 前へ |次へ |
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