《MUMEI》

「おかあさん、ちょっと出てくるね」



最近 おかあさんはご飯をつくってくれない






そういえば前も 私かおとうさんがつくってたっけ








「ふうん。いってらっしゃい」








そんなどうでもいいことを考えていた






だから、余計におどろいた










`いってらっしゃい´って






魔法みたいな 言葉だった







「あ、そうだ。楓」









「な、何?」






こんなに おかあさんと話せるなんて






「もう帰って来なくてもいいわよ。前のおとうさんが妙に気に入ってたから捨てなかったけど。」








やめて









「やっぱりすてておくべきだったかしら」

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