《MUMEI》
人体実験の続き。2
背中に羽根のある少年の続き。
*アダルト表現有り。


数日後、兄貴が部屋に訪れた。


『ヒロ、ちょっと来い』

強引に手を引かれ…お決まりのパターン。トサリと身体をベッドへ沈められて…。


「あ、兄貴っ。俺…ヤダッ!アイツが…見てる」


そう、俺は兄貴の…。有無を言わさず、衣服を剥がれ喘ぐ姿を…アイツに見られたくなかった。


「………パタパタ。」

相変わらず、何も語らぬ瞳は俺達を見詰めていた。


『ヒロ、お前…誰のお陰でデカくなったと思ってるんだ!お前は俺の言う事を黙って聞いてりゃ良い。』


そう、俺は兄貴に死にかけた所を拾われた。親に捨てられ、行く宛も無く雨に打たれゴミ捨て場で肺炎にかかっていた俺。

母親と呼ばれた女は最低の奴で、幼い俺をゲイビに売って、貰った金をホストや男に貢ぎ、その日暮らしをしていた。そしてある日、俺を捨て男と逃げた。

俺は、ゴミ捨て場で雨に打たれながら、薄れ行く意識の中で…死ぬ事を望んでいた。あの時、俺は心まで死んでいたんだと思う。


『なぁ、ヒロ。人間、死んだらしまいだぜ?世の中悪い事ばっかかもしれねぇが、生きてりゃ良いこともあるさ。生き抜いて、お前を捨てた親を見返してやれや!』


兄貴になつくのに時間はいらなかった。兄貴の後をくっついて歩いて歩いて…。思春期を過ぎて、それが恋心に変わり兄貴に抱かれた夜は幸せだった。


「くぅ…ん、あぁっ、あっ…はぁっ…」


『ほら、もっと鳴けよ、ヒロ…ここだろ?お前の弱いところ?ん、ほらっ…いつもみたいに、乱れろよ!』


熱くて硬い塊に、中を抉られ…快楽を存分に与えられた俺は、兄貴にしがみつき果てた。


*****


「兄貴…あのさ、アイツの事なんだけど…」

情事の後、口を開く。

『ヒロ、助けたいなんてコトは言うなよ。』

「…っつ…」

やはり兄貴は俺の考えなんてお見通しで…。


『お前に預けたのが間違いだったか…』

「兄貴、俺っっ」

この数日間で、すっかり俺になついた少年は、俺の後を追う様になり…そうまるで小さい頃の俺を見てる様で…もうこれ以上、アイツが酷い人生を歩むのを見たくなかった。


『アイツを逃がせば…俺達が消されるんだ。解るな?』

「………」


部屋の片隅にポツンと座り、此方を見てる少年は…目が合うと、嬉しそうにパタパタと羽根を動かした。



…………………………

駄文失礼。続きます。

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