《MUMEI》

そんな訳ないでしょ!
少し想像力が過敏になっているだけよ!
摩起は自分の想像を自嘲しながらも、
無意識のうちに早歩きになるのを、止める事は出来ない。
ふと、視界の端で何かが動いたのに注意を引かれて、摩起は・・・・いつもならしない事・・・・幽霊屋敷の方を見てしまった。
黒い虚ろな目のような、屋敷の窓を。
ボロボロに変色したカーテンが、窓際で風に揺れている。
そのカーテンの横に、白い女の顔が浮かび上がり、こちらを真っ直ぐ見ていた。
まったく無表情で赤い唇をきっと引き結び、両目をクワッと開いて自分を見ている・・・・明らかに狂気をはらんだその表情に気づいた瞬間・・・・。
ヒィーーー!!!
摩起は心底から恐怖の叫びを上げて、
駆け出していた。

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