《MUMEI》

少し焦げたフレンチトーストを、二人で食べたんだ

ケンスケの珈琲、美味しい

そう言ったユズネ
アイツの珈琲も、飲んだのかな?…

頭によぎったけど、言葉にしなかった

…………なぁに?

え?

ユズネが、強い目で俺を見てた

あ、目を逸らした
なによ?

べつに……

飲んだわよ、珈琲
泊まったわ、何度かね

そう

そっかぁ、じゃないの?
偽らないで

抱き合って眠ったのか?!

私はあまり眠れなかったわ
不眠症だったの
酷くなってからは、止まってないわ、セックスはしても帰ったわ

そ、そっかぁ

………ムリしちゃって
そんなに、気になるの?

………笑えよ……

笑わない、

……情けねーけど、気にしちまってる

…私の気持ち、わかった?
母と姉よ………

そ、そうだな……

…………ごめんなさい

謝るなよ

………後悔してる、自分が嫌になる
けどね、はっきり言うね
貴方を好きでなかったら、結婚できたわ
………都合のよい男
お金もソコソコ、見た目はまぁ、アレだけど、
浮気される心配も少ないし
結婚相手としては上出来な男よ
セックスは、合わないわね
でも、女の幸せって、そんなもんかなって思ったし

そっかぁ

………気持ちは貴方よ、心は貴方に捕らわれたまま
身体……許せない?
他の男とセックスした、私の身体…

許すとか許さないじゃないんだよ、ただ、ひたすら悔しいんだ
わかんないよな?
俺だって、よくわからんもんさ……

話して、けなしてもいいから
ケンスケの思ってることを私に話して

真っ直ぐ俺を見て、ユズネが言ったんだ



前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫