《MUMEI》
人体実験の続き(6)
羽根のある少年の続き(6)


ヒロは、突然現れた黒いマントの男を見上げた。

…兄貴の使いで来た?

この男の言葉を鵜呑みに信じて良いものか?羽根とは、あの少年の事だと理解したが、会わせて良いのだろうか?

そう考えている隙に、ヨクと名乗る男はズカズカと奥の部屋へと押し入った。

『ちょ、待てよ!アンタ、本当に兄貴の使い…』


扉を開ければ、羽根のある少年は部屋の隅っこで微かに震えていた。


「怯えなくて大丈夫だ。俺はお前を傷付けたりしない。」

震える少年の姿を暫く見ていたヨクは、ふわりと笑顔を見せた。

「何故ならば…俺は…」

そうして、ヨクは自らのマントを脱ぎ捨てた。


『な、アナタは…』

ヒロと少年は、ヨクの姿に言葉を失う。


マントを脱ぎ捨てたヨクの背中には、漆黒の羽根、頭には二本の角、お尻には細長い尻尾まで付いていたのだ…。


「お前と同じ、羽根だからな。」

二人の視線を感じ、悲しげにそう告げた。


*****


『じゃ兄貴は、アナタの所に居るんですね?』

「あぁ、そうだ。明日の羽根取引の準備をしている。」

『兄貴に会わせて下さい!俺…』

「何故?お前はジンより羽根を選んだのだろ?これ以上アイツを傷付けるな!俺とジンでお前達を闇市から逃がしてやる。」

『違う!俺は、ただ、この子の犠牲の上で成り立つ幸せが嫌だったんだ。兄貴を嫌ったんじゃない!兄貴は俺の全てだ!』


ヨクを睨む様な視線で話すヒロに、密やかに笑みを溢す。


…ジン、良かったな。お前振られてないようだぞ。


「フッ…なら俺の言う通りに動けば、ジンに会わせてやらない事もない。どうだ?出来るか?」

コクリと首を縦に振るのを確認し、ヨクは話を始めた。


「さっき話をした通り、明日深夜に俺達が羽根取引をする。闇市の意識は取引に向いているから、その隙にお前達は、港へ向かい手配してある船へと乗り込み隠れていろ!」

『っ、兄貴は?』

「後で向かわせる」

『信じて良いんだな?』

「何が起ころうと、出港するまで出て来るなよ。大人しく隠れていろ。」

ヨクの言葉に頷きながらも、ヒロは不安感を拭えなかった。

…この人は一体、何者なのだろう?先程の悪魔の如き姿は?本当に信じて良いんだろうか?幾多の疑問が頭を過る。


…だが、今のヒロにはヨクを信じて行動するしか道がなかった。


*****

あぁ、スミマセン。まだ続きますm(__)m

ポチコメありがとうございます、ダラダラと長くて申し訳無いです。あと二回位で終わらせたいなぁと考えていますので、もし良ければお付きあい下さると嬉しいです。

駄文失礼しました。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫