《MUMEI》 5日前本の続き読んで 翌日、つい習慣となってしまい図書室を訪れた自分 戸を開くなり目の前に本が差し出された 自分で読み進めればいいものを 態々自分を待っていたらしい彼女に自分は僅かに肩を揺らし 手近にあった椅子を引き出し、腰を降ろす 「続き、読むんだろ?」 おいでおいでをしてやれば 照れてしまったのか、彼女は暫くソコを動くことはせず だがゆっくりと、そして控えめに自分の膝の上へと座ってくる 聞く体制が整ったのを確認し、読み始めた (少女は世界を守ろうとしていた けれど腕に抱いたその身体は日々段々と痩せ細っていく どうすればいいのか、何をすればいいのか 考えても悩んでも何の解決方法も出てはこない 何の役にも立つことが出来ず、等々泣き出してしまった 泣かないで欲しい。誰も、悪くはないのだから 少女の頬を伝っていく涙をぬぐってやる手はさらに細く、脆くなり あなたを苦しめているのは、誰? 聞かずにはいられなかった だが世界は答える事はせず、ただ、口元へと笑みを浮かべるだけ) どうして世界は何も言わなかったのだろう 話して聞かせてやる最中、彼女がそんな疑問を投げ掛けてくる それは自分も知る処ではなかった 答えてやれるそれがなく、苦笑を浮かべるしかできない自分へ 彼女はそんな自分をまじまじ見上げてくる どうしたのかを問うてみれば 自分が今、物語の中の世界の様だと微笑み 物語の少女がした様に自分を抱きしめてくる 君がもし世界なら、私が守ってあげる 耳に心地のいい彼女の声 人は単純だ たったこの一言だけで胸の内が軽くなるのだから 「俺は、そんな大層なもんじゃねぇよ」 苦笑をまた浮かべててやりながら彼女の髪を掻いて乱せば 彼女は微笑を浮かべながら、その手に身をゆだねる 悲観するのは、まだ早い。まだしなくてもいのだと 彼女の存在を掌に感じながら、自分はそう思っていた…… 前へ |次へ |
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