《MUMEI》
出会い
春の心地良い風によって僕は深い眠りについていた。

ふと目が覚めると学校にいる。

もちろん僕の席の周りには誰もいない。

机の上を見るとマジックで書かれた絵やら文字やらで黒く染まっていた。

どこからか笑い声が聞こえる。

「よお、誠司。なんでお前の机黒いの?」

わざとらしくクラスの連中は必死に笑みをこらえながら話しかけてくる。

「だって秋野、黒色好きだもんな」

「そんなに好きならその白いワイシャツも黒色に染めてやるよ」

その瞬間、僕の頭上から黒い雨が降った。

墨汁だ。

そう気付いた時にはすでに僕の体は炭のように黒くなっていた。

辺りからは携帯のカメラで写真を撮っている者や仲間達と共にこちらを指差して笑っている者もいる。

僕は急に教室を飛び出した。

笑われるのが恥ずかしかったのか、悔しかったのか…実際の所よく分からなかった。

とりあえず長い階段を上り屋上に行くことにした。

チャイムが校舎に鳴り響いている。

授業が始まり、屋上には誰もいないはずだった。

屋上は教室よりもはるかに気持ちの良い場所だった。

しばらくそこに寝転んでいると横に誰かが座った。

それが綾香との出会いだった。



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