《MUMEI》

帰りの道々、摩起は学校で聞いた不可解な出来事の数々を考えていた。
担任の林の死。それを聞いた時、何の驚きも感じなかった、自分自身の心の不可解さ。


まるで自分は『その事を知っていた』とでもゆうかのように・・・・。


それに何よりも・・・・これは摩起も驚いたのだが・・・・いじめの中心グループである梨々香達三人組が、学校ヘ登校して来ていないとゆう事。
登校の時、自分の頭をはたき、授業前に頭に水をかけられたのは何だったのか?
あの三人は学校の中で、かくれんぼでもしているとゆうのか?
それとも、まさか本当に幽霊?!
そうこう考えているうちに、幽霊屋敷のある林道にさしかかる。
もう警察の現場検証は済んだのだろうか?
鬱蒼と雑木林の立ち並ぶ道は、相変わらず寂しげで、話を聞いていなければ今朝自殺体が発見されたとは思えない、いつも通りの様子を見せている。
林の向こうに、死者の顔のように見える
洋館が近づいて来る。
眼球の無い、虚ろな眼窩−がんか−のような二つの黒い窓が、相変わらず通り過ぎる摩起の姿を、樹の間ごしにじっと見ている気がする。
見てはいけないと思いつつ、摩起はボロボロに変色したカーテンの揺れる、黒い窓を見てしまった。

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