《MUMEI》
決心
まあ、とうぜんそう言うだろう。

それ以外、俺をここに監禁しておく理由がないからな。


でも、何で知らない奴が俺の妹の事を知っている?

杏は天才ってわけもなく全国大会行ったことも無い、普通な平凡な女の子だったはずだ。

しかもそれをなぜ、ロシアから来たとかいう外国人が知っている?

さっぱりわからない。


俺は思いつく限りの否定文章を頭に並べ、短編小説が書けるほどの文字列が頭に流れて行く。

全てを流し終えた、そのあとで冷静に、と俺に声をかけてじっくりと考えることにする。

俺には二つの選択肢がある。

『杏の情報を得て、この鳥籠から解放される代わりに、こいつらのチームに参加する』

『杏の情報を得ず、この鳥籠からも解放されない』

どっちにしろ、チームに入るというまで俺をここから出さないつもりだな。



―――――杏の情報。


もし、それでガセネタだったら、俺が得することは何もないな。

だが、本当の情報をもらえるとしたら、チームに入り、梓に助けを求める、という手も思いつくが。


「さぁ?どうするの?」

「ま、ゆっくり考えなさいな」

笑みを浮かべ、頬杖をつきながら、俺を観察する。

俺は壁の方を向いて、その姿を見ないようにした。



―――――――――――俺は今この時、決心をした。



これは賭け。

俺はそれを実行する時間まで、ゆっくりここで体を休めておくことにする(といってもくつろげる空間ではない)。
 

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