《MUMEI》
ユズネとイズミ
地元に戻り、居酒屋に集まったんだ

マサカズとイズミは、先に来てた

チェーン店の居酒屋だけど、靴を脱いで飲める店だ
少し遮蔽があって、個室の雰囲気を作り出してる

めんどくさそうに座った俺に、何を飲むかとマサカズが、聞いたんだ

ビールを頼んだ

ユズネも、同じものを頼んでた

ビールなんて、飲むんだね?

飲むわよ、初めはビールが美味しいのよね

知らないことばかりだな、
装ってたのかい?

……見られたくないものもあるのよ
自分を出せなかっただけかしらね

ユズネとマサカズの会話だった

何の意味があるんだい?
お互いベストパートナーを見付けた、それで良いじゃねーか?

結論から入った俺に

君に謝らなきゃならないからね
ユズネを愚弄した事をさ、まぁ、見透かされてたけどね……
嫌な男になってでも、自分を守りたかったんだ
勝ち負け、かな?……そんなものに意味は無いんだけどね、
すまなかったね

抱けたんなら良かったろ?

意外なことを言うね、欲しかったのは身体だけじゃないんだけどね
君に言われて痛かったよ、確かに小さいことをした……
少しでも嫌がらせしてやりたくてね、フラれた腹いせだよな

よくある話だ
謝罪は要らねーよ、関係ねーからさ

こっちの都合で謝罪してるだけだよ

コイツ、意外とさっぱりしてるんだな……
ユズネに未練があったら、面倒だなって思ったんだけど……

イズミとは遊びだったのか?

マサカズに聞かれたんだ

……複雑だな、結果、遊びだな

ストーカーから、守ってくれたそうだね

それも、結果論だ
そのために近づいた訳じゃない

身体かい?

勿論だよ、そんなチャンスを見過ごすほど老いてねーからね

ナイフを出されたそうだね?

……そうだったな

そこまで出来るのか?
下手したら……怪我じゃ済まないんだ

ん………

言葉につまったんだ
したら、ユズネが

さっき、車の中で聞いたわ
ヤれるなら、そんぐらい切り抜けるんですって、
絶対ヤル、そう決めたんですって!

んぎゃっ………痛いんだけど……

ったく、良い女見たら手を出しまくって……

痛いよ、ユズネ……

何が本気で遊んだよ、そのうち女に刺されるわよ!

………世の男はなぁ、美人見たら下心は出るもんなんだよ

行動するのしないは、理性で決めなさいよね!

…………そんなチャンス、逃すかよ…

あのねぇ!

一人もんだったんだよ、そうするだろ?!

…………今は、しないの?

当たり前だろ

…………そう、なら、許してあげるわ

ふぅっ、ったく、痛いっての

耳を引きちぎられるかと思った

そんなに嫉妬するんだね、ユズネ

そうよ、本気、初めてだから、
自分でもわからないわ

……よかったね、良い男と、そうなれて

そうね、
結局、損得なんかで心は誤魔化せないのよね

未練は無いの?

ズット黙ってたイズミが、聞いたんだ

誰に聞いたのか、微妙な感じで

どうなのよ?

ユズネが、俺に聞いたんだよね

俺か?……

ビールを飲もうとした、俺の手が止まったんだ
ユズネに聞かれて



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