《MUMEI》
2日前
 (その日)が近くなってくると構内も流石人の出入りもまばらになっていた
それもそうだろう
世界が終わると分かっていて勉学に勤しむ輩などそうは居ない
そんな事を考えながら自分は今日も図書室へと向かっていた
後、2日
あの物語を全部読んでやる事が出来るだろうか、とまた考える事をしていると
一際大きな地鳴りが起った
立って居られないほどのソレを何とか耐え、体勢を整えた
漸く揺れが収まり、彼女は大丈夫だろうかと自分は図書室へ
「大丈夫だったか?」
どうやら机の下に避難したらしく
未だ膝を抱え蹲っている彼女へを手を差し出した
自分の姿を見るなり彼女は安堵に表情を緩め
その手を取ると、やはり怖かったのだろう自分へと縋りついてくる
暫くしたい様にさせてやり、要約落ち着きを取り戻したのを確認すると
自分は彼女をつれ椅子へと腰かけた
宥めてやる様に彼女の髪を梳いてやりながら
ソコに準備してあった本の続きを読み始めてやる
(嘘だと言ってしまえば、世界をさらに気付付けてしまう様な気がして
少女は何を言う事も出来ない
唯、自分が出来るのは世界に触れてやる事だけだと
少女はその小さな手で精一杯大きく世界を抱いてやろうと手を伸ばす
大丈夫、今だけは私が守ってあげるから)
ここまで読み進めた時だった
また地鳴りが起り世界が震え始めたのは
先のより強いソレに図書室も例外なく揺れ始める
早く机の下に避難、と彼女はすっかり動揺し自分の手を引いた
次の、瞬間
目の前の本棚が傾き倒れてきてしまう
避けられない、間に合わない
そう考えた時には身体が勝手に動いていた
彼女を、庇う様に
「……平気、か?」
全身に感じる痛みに朦朧としてきてしまった意識の中、何とかその安否を問う事してやれば
泣いてしまったらしい彼女が頷いてくれたのが、見えた
周りにはすっかり散乱してしまった本と倒れた本棚
ああ、折角片付けたのに
そんな事を考えながら、自分はそのまま意識を失ってしまったのだった……

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