《MUMEI》

やたら、盛り上がってた

ユズネが男に本気になったってのが、凄いことらしい

そして、終電もなく、カラオケへ

やっばい、ケンスケさん、歌声良すぎかも

ユズネがデュエットしてるわ……

いいなぁ、ラブラブ
私も彼氏欲しい!

そんな声が聞こえてたんだ
ユズネ、悪乗りして俺の腕に抱きついて歌ってたよ

冷やかされたけど、

私的にはね、自慢の彼氏なんだ

笑顔で話したユズネ

嘘…あの外資系の本社勤務なの?!

エリートじゃない!

ズルいよひとりだけ!
誰か紹介してよね!

ケンスケさん……コンパしません?

やたら、身体を近づけて、そう言った女子を
ユズネが引っ張って離させてた

近すぎ………

ユズネ……そんなこと、気にするんだ?

…………なにょ

……女の子してるんだね?

悪い?!

ううん、初めて見たわ、そんなユズネを

だからぁ、ケンスケから離れてってばぁ!

ぁは、おもしろーい
ケンスケさん、素敵よね

こら!、離れなさいよ!

肩を寄せられたんだ

ユズネが割り込んで間に座った
その、許しちゃうんだよね見て

勝てないね、うちの社の男たちじゃ、

噂になるわよ

ユズネ的には、困らないんじゃない、
誘ってくる男が減って楽になるわよね?

俺に肩を寄せた女子が言ったんだ

そうね……断るのも面倒だし、ほっといてもらえたら楽ね

そんなに誘われてるのか?

そう聞いた俺に

嫉妬するような男は居ないわよ
誘われても行かないし、
今日だって、ただ酒飲みたい人達が私を巻き込んだんだもの

なによ、道端で待ってるつもりだったの?

そうよ、待てるわよ

………ユズネ、変わったね……

そうかなぁ、待ってるのも好きよ
家でもそうだもん、
お料理作って、お風呂沸かして……
悪くないわ、そう言うの

な、なによ、良い顔しちゃって……

髪切ったからじゃないね、ユズネが綺麗になったの

……爪も切ってたから、男かなって思ったけど、話してくれなかったからね

話せないよ、あのときは、まだ…

今なら平気なの?

うん、

もう、逃がさないとこまで来てるんだ?

わかんない、それは
けど、私は見えてるから
人の気持ちは、どうにもできないけど、自分の気持ちはハッキリしてるから

妬けるわ、マジ……ユズネがそこまで…
わかるかな……ヤバイ、惚れそう

ちょっと、やめてよね!

クスクス、冗談よ



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