《MUMEI》
(終)の続き
『此所まで来れば、大丈夫だろう。後はお前らの運次第だ。』

ヨクの手配した男は、三人を名も無き港へと降ろし、去っていった。


男を見送ったジンは、ヒロと少年の前に立った。

「ヒロ、此処でお別れだ。お前はガキと行け。」

『え?兄貴、何を…』

「もう自由になったんだ。無理に、俺なんかに縛られなくていい。お前の好きな所へ行っていいんだ。」

『兄貴…ちょっ』

「じゃあな、ヒロ。幸せになれよ!」

ジンはクルリと二人に背を向けて歩き始めた。

…そう、これでいいんだ。これ以上、ヒロを俺の人生に付き合わせる訳にはいかない…


『待てよ!馬鹿兄貴!』

物凄い力で、後ろからヘッドロックを掛けられ、ヒロに拘束された。


「なっ、ヒロ?」

『何でもかんでも一人で勝手に決めやがって…また俺を捨てて行くのか?あの女みたいに…』

「ヒロ…お前、俺なんかと居たら不幸にな…」

『誰が決めたんだ、そんな事!俺は兄貴といるだけで幸せになれんだよ!解れよ、いい加減…』

痛いくらいに抱き締められて…。

怖いくらいに愛されて…。

お互いの気持ちが通じあった二人の周りを羽根のある少年が、嬉しそうにはしゃぐ。


「ヒロ、兄貴、仲良し仲良し、ずっと一緒、一緒」

そう言ってはしゃぐ少年の顔には満面の笑顔。


『お前』「ガキ」

ヒロと兄貴は、呼び掛けて気付く。羽根のある少年には名前がない事に。

「こいつの名前」
『うん』

二人の思いは一緒だった。顔を見合せて笑い合い−−−その名を呼ぶ。


『「ヨク」』


呼ばれたヨクは嬉しそうに駆け寄り、二人に抱き着いた。


−−−これから先は、皆で幸せに−−−



終わり。


*****


やっと終わらせる事が出来ました。ポチコメや読んで下さった方々に感謝しますm(__)m

長くて稚拙な駄文、本当に失礼しました。

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