《MUMEI》
背後に
「そうね。わたしの右腕を撃ったのは、あの馬鹿な死にぞこないだった男。そしてこの左肩を撃ったのは、そっちの」
ミサは視線をユウゴに移した。

「あんただったわね」

「……よく生きてたな。弾二発もくらって」
「ええ。あんたたち二人を殺すまでは死ねるわけないでしょ。もちろん、死ぬ気はないけど」
「……兄ちゃんたち、すごく恨まれてるみたいだね」
そう言うサトシの声にミサがピクリと反応した。
「あんたもその二人の仲間?じゃあ、可哀相だけど、死んでもらわないと」
 ミサは一歩、足を踏み出した。
ユキナとサトシは、それに合わせて一歩下がる。
しかし、ユウゴは薄く笑みを浮かべてその場を動かない。
「ユウゴ?」
 心配そうなユキナの声を聞きながら、ユウゴはミサを睨みつけた。
「なんか凄んでるけどさ。あんた、そんな状態で俺たち三人を相手にできるのかよ?えぇ?」

「……あれ、言わなかった?」

ミサは少し間を置いて言った。
相変わらず、その顔に浮かんでいるのは不気味な笑み。
「な、なにをだよ?」
 ユウゴは彼女の余裕な素振りに嫌な予感を覚えた。

「……ほら、後ろ」

ミサの言葉に三人はゆっくりと後ろを振り向く。

「……!!」

そこには真っ黒な服に身を包んだ警備隊がこちらに銃口を向けてズラリと並んでいた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫