《MUMEI》 サイト「斧…だって…?」 「あぁ。ソイツで俺らを…いや、井上を狙ってた感じがしたんだ。」 「なぁ…、その女の人‥どんな感じだった?」 『斧』と聞いた途端、司の様子に変化が起きた。 動揺しているのか、妙にそわそわし、落ち着かないでいるのだ。 その変化に疑問を感じつつも、洋平は聞かれた質問に答える。 「真っ黒な髪で、流さは胸まであったかな…?顔は髪で隠れて良く見えなかった。 後、服装なんだけどさ… 多分、元は白いワンピースだったんだと思う…。」 「どういう意味だ…?」 「酷く汚れてたんだ。赤黒いシミで…。 俺、思うんだけど…ってオイッ!!」 ふと気付くと、司が何も言わず、勝手にパソコンを弄り出していたのだ。 他人の物だというのに、お構いなしでキーボードを叩いている。 「何勝手に…」 「ちょっとお前に見て欲しいモノがあってさ…」 「見て欲しいモノ?」 「あぁ…。」 司は真剣な顔付きで、パソコン画面と睨み合いをしながら頷く。 暫くの睨み合いが続いた後、漸くマウスのクリック音が聞こえた。 画面に写し出されたのは、10年前の事件の記事と、それに関する写真。 「お前が見た女の人ってさ‥この人、じゃないか…?」 司はその写真に写る、一人の女性を指差した。 前へ |次へ |
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