《MUMEI》
大火事
両手に透明なフォルムのガラスのように美しい氷の剣を構え、少女に突っ込んでいく。

ナギナタの回転を止め、剣の攻撃を防いだ。

その隙に、俺は塊の中でもとびきりとがったものをつかみ、相手の首もと狙って振り下ろす。

その瞬間だ。

またしてもこの少女は後ろを振り返り、透明なはずの俺の腕を掴んで、前に引っ張った。

力が強く、俺は梓の方へ転げ落ち、透明でも無くなってしまう。

「恭介!」

黎司はフンと鼻で笑い、すぐに視線を敵の少女に戻した。

…悔しい。

あいつをギャフンといわせてやりたい…!!

俺のやる気に、火がついた、どころではなく、大火事になる。

「梓、その剣一本貸せ!!」

「え」

梓が剣を差し出す前に、その手から奪い取る。

「ちょ、ちょっと恭介!?」

走り出した―――――思いっきり。

「おおおおおお―――――ッ!!!」

ナギナタの少女は、無表情のまま。

また、黎司も鼻で笑った。あいつはまた投げ飛ばされるんだろう、と。

「き、消えた!」

俺は途中で透明になり、少女へと向かう――――!!

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