《MUMEI》

梓は叫ぶと、掌からたくさんの氷のつぶてをミーシャにむかって撃つ。
黎司もそれと同時にもっていた銃で連射する。

ミーシャはサッと背中に装備していたレイピアを引き抜くと、それで弾丸をはじき返す。

「どお?なかなかのもんでしょ?私の突剣の腕はッ!!」

そういうと思いっきりレイピアで空を突く。

いち早く危険を察知した黎司は、銃を溶かし、前に鉄のシールドを展開する。

それとほぼ同時に、ガンという音を鳴らしながら鉄にクレーターができる。

「―――衝撃波!!」

次々に大小のクレーターが連なり、とうとう歪んだ鍋底のようになったシールドに穴が開く。

梓はその穴に向かって手を伸ばすと、熱で鉄を溶かし、穴を埋めて行く。

どんどん穴が開き、梓の修復が追いつかない!!

「くッ!!」

穴はどんどん広がり、ミーシャの笑い声が聞こえる。

「防御ばっかして、攻撃はしないのかしらぁ!!」

穴のあいた所から突風が吹き、そこから梓達の後ろのトタンに穴をあける。

黎司はチッと舌打ちをすると、後ろを向き、風にフードを被せられながらウワァと驚く梓の首根っこを引っ張り、その穴から脱出した。

「ちょっ、何すんの!!」

梓はもがき、空を仰ぐ。

「あれじゃ勝てねぇ。別の部屋から侵入しなおす」

黎司は倉庫のうらに回ると、そこの窓ガラスをパリンと割り、中に入る。

「まっまて!!」

置いて行かれそうになった梓も急いで飛び込んだ。

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