《MUMEI》 転校初日「うわああああ!!!」 2階から、すごい勢いで制服を着ておりてくる少女。 「朝からうるさいなー、芹華は。もう中学2年だろ?」 「だってお父さん!お母さんがいつもみたいに起こしてくれないんだもん!」 芹華と呼ばれるその少女は、あわてて牛乳をゴクゴクと飲み干す。 「わたしだって引っ越してきてすぐなんだから、忙しいのよ。もう一人で起きられるでしょ?」 「無理だよ!あたしの寝起きの悪さ知ってるでしょ?!」 「いいから行きなさい芹華。転校初日だろ」 まったりと新聞を読む父親。芹華はうなずく。 「うん、友達できるように頑張る」 芹華は昨日張り切って準備した教科書の入ったカバンを持って笑う。 「いってきまーす」 元気な声で叫ぶ芹華だけど、心の中で、心底ふるえていた。 初めての転校。しかも転校した理由が、前の学校でいじめられていたから。 次へ |
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