《MUMEI》

主人とは、お見合い結婚なんです
理想的な結婚相手だと思ったんです
それが、女の幸せだと、確信してましたの
だから、ユズネにも、それを進めたんです
お友だちになってるそうですね?
マサカズさんと
ユズネから、聞いておりますわ

返事はしなかった
ユズネが話したのなら、間違いはない

………私には、理解しきれないことに思えましたわ
ですが、貴方たちは、それを普通のことのように、
けして、ムリをしてるようには見受けられなかったんです

ユズネに、諭されました
知らない世界がある
まだ、知らない価値観がある、と…

損得勘定や、欲望は、
誰もが考え持っているものなんでしょうけど、
他人の欲望を理解するなんて、考えたこともありませんでしたわ

ユズネを犯した、不道徳な男達の欲望、
貴女は、それを理解してると、
夢中でユズネを犯したんだろうと……
私の中では、そんなことを言われたら、女は地に落ちてしまう
惨めで、死にたくなってしまう

でも、ユズネは真っ直ぐ前を見てるのですよね
強いとかじゃないんですね

貴方の愛に守られてるからなんですね

私も、彼らに凌辱されました
ババアの身体でも射精できた
そんなことを言われましたわ

驚いた………
ユズネ、奴等が家にも来たと言ってたな………

主人は、その事を知り、私を汚い女だと……
それは、主人のプライドもあったのでしょうね
若い男達のオモチャにされた事実を、受け入れられなかったんでしょうね

アヤネを、見たんだ

私は無事だったわ、
二階に隠れてたの、母の悲鳴を聞きながら………助けることも出来ずに…

アヤネの言葉に……

ケンスケ、拳は要らないわ
落ち着いて

ユズネの言葉にハッとした
気付けば、拳を握りしめてたんだ

女には、暴力じゃかいけつできない事なのよ
私は貴方がいるから、強くなれたの
でも、裁判を進めたのは父よ
それが、善意なのか
父のプライドを守るためだったのかはわからないわ
でもね、ケンスケ、私は泣き寝入りしないわ
それで良かったと思ってるの
この先、もっと噂が拡がって、職を失うことになるかもしれないし、
撮られたムービーが出回るかもしれない、
貴方に迷惑をかけるかもしれない…

迷惑なんてひとつもない
ユズネの傷は、俺の傷だ
だから、ユズネに笑顔は、俺の笑顔なんだ
こっちに、来てくれよ、ユズネ

はい

ユズネが、立ち上がり
俺の隣に来てくれたんだ

私も強くなりますわ
貴方のお母様、お美しい方ですわね
負けてはいられません
貴方の母になるのですから

ユズネの母が、俺を見て、そう言ったんだ



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