《MUMEI》
学生×サラリーマン
自主トレ中の学生×残業終わりのサラリーマン


日課のランニングコース。いつも通る道、曲がり角を曲がれば俺のアパートが見えるはずだった。

フラリ…いきなり現れた人影が、目の前で倒れた。

「うわぁぁっ」

慌てて、足元に倒れてる人物を見れば、スーツ姿のくたびれたサラリーマン。

「ちょっと、大丈夫ですか?」

恐々、声を掛ければ…

『キュルルルルン…』
腹の虫が返事をした。


*****


「まだ沢山ありますから遠慮せずに食べて下さいね。」

ハグハグモグモグ…
さっきから、ドンブリ片手に、ほっぺたを膨らませて飯を掻き込む行き倒れのサラリーマン。

…お前は、冬眠前のリスか?ハムスターか?心の中でツッコミを入れる。

彼は、ここ数日間ハードワークを録に飲まず食わずでこなし、残業明けの帰路途中に俺の前で事切れたのだそうだ。


『うぐっ…』
飯を喉に詰まらせて奇声をあげるサラリーマン。

「あー、もう慌てて食べるから…はい、お茶飲んで?」

『ズズッ…はぁっ、有難う、少年。』

「少年?俺、こう見えても大学生なんですよ。」


『え?そうなの?じゃ青年だね!』


…ほっぺたや顎にご飯粒引っ付けて、屈託なく笑うその顔にドキリと胸が跳ねる。

…あれ?なにこれ?
相手は、くたびれたサラリーマンだぞ、それも若くは無さそうな…


『はあっ、美味しかったぁ、ごちそうさまでした。有難う、青年。』


「いえ、あのでも大丈夫なんですか?家で奥さんがご飯作って待ってるんじゃ…」


『……』

カチャンとドンブリがテーブルに置かれ、俯くサラリーマン。

…しまった。地雷踏んだか?


…暫し沈黙の後…


『逃げられたんだ。だから………大丈夫。』


…サラリーマン曰く、残業やら休日出勤やらを繰り返して、家庭を疎かにしたのが理由らしい。

ある日帰宅したら…奥さんも子供も居なかったんだと。


『俺さ、要領悪くて…残業や休日出勤を押し付けられてさ、断れなくて…で奥さん子供に逃げられてちゃ、世話ないよね?』


はははっ、って情けなく笑うその顔が今にも泣きそうで……。


『……青年?』


…思わず、この不器用でくたびれたサラリーマンを抱き締めていた。




*****


……微妙な話になりました。お題からズレました。駄文スミマセン。


読んでいただき有難うございましたm(__)m

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