《MUMEI》

教室にいる人たちは、みんながやがやざわざわしていた。

「はーい、みんな席について〜!転校生さんを紹介するから」

転校生ときいて、さっきまで大笑いしていた女子たちが、バタバタと席についた。

「じゃ、三神さんから自己紹介よろしくね」

先生が芹華ににこっと笑いかけて言った。

芹華はこくっとうなずいて、息を大きく吸った。

「三神芹華です。前の学校では、美術部に入っていました。絵を描くのが大好きです。よろしくお願いします」

最後に頭を下げる。ぱちぱちと拍手がおこった。

ちゃんと言えた・・・!芹華は心の中で舞い踊った。

「じゃ、次は中原さん。よろしくね」

隣の中原さんが、真顔でしゃべりだした。

「・・・中原 アキ。よろしく」

中原さんがそれだけ言うと、だまった。

あまりにシンプルな自己紹介に、みんなびっくりして中原アキを見た。

先生も苦笑いをしながら、拍手している。

「あ、ありがとう二人とも。じゃ、三神さんは、窓側の一番後ろ。中原さんはその前ね」

「は、はいっ!」

中原さんは返事もせず、自分の席に移動した。

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