《MUMEI》

バンッ

突然の音に皆が振り返る。ドアを蹴破り発砲してくる黎司と梓。

「黎司!梓!!」

俺はその隙に明智の足を蹴り飛ばし、向こうに駆け寄る。
明智はチッと舌打ちをする。

「こりないわねぇ。そんなに死にたい?なら…」

ミーシャがレイピアを抜き――

「今すぐ黄泉の国へ誘ってあげる!!!!」

ミーシャが思いっきり空を突く!

風が巻き起こり、壁がガタガタと鳴り響き、ダンボールやほこりが巻き起こり、臭い煙が風に乗る。
目の前が灰色で何も見えない。

「煙が邪魔で見えん…!」

黎司が銃をナイフに変え、自分の手の甲を切り、そこから滴り落ちる血を使って二つ目の銃を作ると、ナイフも銃に戻す。
黎司は銃を両手に、梓は氷の盾と剣を作り、構え、俺は無防備に何も持たずに、三人は背を任せて集中する。

読書をするとき以上に目を動かし、注意深く煙を観察する。

「来る!!」

梓がそう叫んだとき、梓の目の前の煙の壁が裂け、梓の盾にナギナタが刺さっているところだった。だが、明智の姿がない。

「こっちも来るぞッ」

黎司が叫び、襲い来るのはボーダーのパーカーを着た青年が、袖から大きな獣のような鋭い爪を三本だし、黎司を切り裂く。

「ぐッ!」

黎司は右腕を犠牲にして、その隙に青年に連射する。
青年は化物のような柔軟な動きをし、その弾丸をすべて避けるとバク天で煙の中に去っていく。

「やりずれェ…」

黎司は冬なのに汗をダラダラと流し、銃に自らの血を入れて弾丸を作る。

「梓!そのナギナタを俺に!!」

「ホラッ!」

盾からおもいっきりナギナタを引っこ抜くと京介に投げる。

「っお。危ね」

キャッチすると、自分もナギナタも透明化させ、煙の中に飛び込んでいく。

背中にあたる温かな感覚が亡くなったのを感じた黎司と梓は、サッと二人で背中を合わせた。

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