《MUMEI》

「行っちゃったけど、いいの?」

「あぁ。そんな事より、準備が済んだのなら、さっさと質問の答えを言おう。」

機械をざっと弄りながら、目も合わせずにそう言った。

少し早口な気もして、どんどん謎は増えていくばかりだ。

「質問の答えは、簡単に言えば君のお兄さんが僕に似ていたからだ。仕草や脳内に描く事が、非常に近い気質で出来ていると思った。以上だ。」

「でも……!」

喉まで出掛けた声は、矢吹の人差し指が唇に触れた瞬間、意図も簡単に防がれた。

「それ以上の質問は受け付けない約束だ。」

にこりと口許は緩んでいるように目には映るが、矢吹の瞳は正直だ。

真っ直ぐに私を見つめ`黙れ´と警告している。

「わ…分ふぁった。」

思わず噛んだが、矢吹は何も言わずにまたお調子者のオーラを纏った。

「さて、準備は整った。このボタンを押して君が深く目を閉じ、ミリオンヘイムオンラインを想像すれば、戦争は始まる。」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫