《MUMEI》

付き合って3カ月―。


それまでは普通の幼馴染だった。


毎朝バカなこと言い合って、


時々喧嘩して、


あたしが泣きそうなとき一生懸命笑わせようとしてくれた。


バカでも、そんな風に笑わせてくれるのは君だけだったんだよ。


初めて手を繋いだ日に初めて君の横顔を見た気がした。


いつもより近くで見る横顔はとても愛おしく感じたんだ。


だけど、


季節はまだ移り変わってすらいないのに、どうしてあたしだけこんなに寂しいの?


隣に君が居るはずなのに…


一人ぼっちみたい。


どうして目合わせてくれないの?


付き合う前までは、どんなにくだらない事でも笑い合ってたのに。


学校の帰り道。


ふたつの影が伸びて、言葉もなく一歩一歩進んでいる。


律儀にあたしの家まで送ってくれる君。



「じゃ、また明日」

「うん。ありがと」



簡単な会話。


付き合って3カ月ってこんなんじゃないよね?


もっとさ、仲いい感じなんじゃない?


あたしの思い違い?



「ねぇ」



あたし、思わず呼び止めてしまった。

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