《MUMEI》
「なあ、まだ時間あるし飯行かね?弁当なんかこれから嫌ってえ程食うんだしよ...」
伊藤さんは煙草を灰皿にぐりぐりと擦りつける。
「はい!」
----そんな俺に断る理由は皆無だ、つか誘われて嬉しい!。
俺は早速伊藤さんに促され局の地下駐車場へと行く。
----さっき田中さんと来た駐車場。
「ほら、乗って」
伊藤さんはキーレスでドアを開け、運転席にサッと乗り込む。
俺も助手席に乗り込みシートベルトをしめた。
「はは、散らかってっけど気にしねーでな」
俺の足元に空のペットボトルや空き缶が幾つも散乱している。
車内は綺麗に清掃されている感じなのに…
「ゴミ箱買おうって思いつつ忘れちゃうんだこれがー!」
伊藤さんは笑いながらハンドルを切る。
一般的なグレードの国産車に、ちょっと抜けている一面。
なんか俺、伊藤さんと初対面なのに
肩の力を抜ききって
楽に、自然に
一緒にいられる
不思議さと安堵を感じる。
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