《MUMEI》

だけど、


あの頃と違うのは、今、君が耳まで赤くしているということ。


それがなんだか可笑しくて、あたしは思わず笑ってしまった。


そしたら、君はこう言ったんだ。



「やっと笑った。俺、その顔が一番好き」



と君は言ってゆっくりと顔を近づける。


そして、


優しく唇と唇が触れた。


愛しささえ覚えた君の横顔。


見飽きてしまうと不安ばかり募ってしまった。


だけど、


あたしの想いをぶつけたら、こんなにも優しい温もりを感じることができた。


ただただ見つめるだけの横顔だったけれど、


明日からは君の横顔にあたしはキスをするよ。


―これから先、君の頬に唇をあてるのがあたしだけであるように。


と願いを込めて…。





【the END】

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