《MUMEI》

「ん?」

目を開けると…いや、目が開いていたと意識が感知すると、私の世界は電脳的な青い空間に包まれた。

「此処がミリオンヘイムオンラインの中…なんだ。」

不思議な感覚だった。

息も出来るし喋れる。浮遊してるのに恐くはない。

生きていると思える。


「ご主人!」


「え!」

初めての他人の声。…いや、音?でもその音に機械的な要素は皆無だ。

「おーい、ここッスよ。」

声の聞こえる方へ目を向けると、掌サイズの小人が羽をパタパタとさせ、私と並行していた。

きっと、矢吹の説明にあった案内人だろう。深緑の髪に真っ黒な瞳。うん、外見もそんな感じだ。

「僕はAIッス。この先ずっと、ご主人と旅を共にする、最初のパートナー。だからご主人。僕に名前を下さいッス!」

「名前?」

「はいッス。格好いいやつにして下さいよ。」

なんとも人間らしい作り物に、私は声が出なかった。

その表情、その動き。

その存在は、まるで人間のそれと大した変わりは無かった。

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