《MUMEI》 黒い、怖い夢を見た。 鎖が垂れる、暗黒が輝るその黒き世界に、俺はゆっくり沈んでいく。 ふと、自分の首に何かを感じ、首を手で触ると、ビリッと電流が走った。 落ちてくる鏡の破片が、俺の首を映す。 そこには、ナニカの機械の基盤が埋め込まれたような、赤い首輪が映っていた。 「なんだよ…これ…」 手を伸ばした。 その先にあった鋭くとがった破片を握りしめ、思いっきり首に突き刺す―――― ぐっと力を入れ、反発する力に、さらに力を加え、鉄ではない何かでできた首輪を割ろうとする――― もう片方の手を加え、歯を食いしばり―――――パリン、と割れ、砕け散った。 途端に、黒い世界も砕けちり、世界は再び光を取り戻す――――― ――――ここ、どこだ――――――? 目の前に広がる、白いタイルの世界。見回せば、となりにベット、窓。 その風景は、どこか見覚えがあった。 となりのベット。目を見開いた中学生ぐらいの少年が、俺を指差した。 「目ェ覚ました――――!!」 その声は、この建物に、グワングワンと響いた。 前へ |次へ |
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