《MUMEI》

「名前かぁ。」

瞳をキラキラさせる小人に若干の罪悪感が芽生えた。何故なら、私は一般人が普通に持ち合わせている感覚のひとつ、センス、というものがまるで無かった。

兄等にもよく言われたものだ。

「お前は何もするな。」

ムカつくが、いつも言い返すまでは踏み込め無かった。

悔しいが、確かな事実だった。

そんな私が、こんな可愛らしい小人の名前を決めろと迫られている。

何か単純な、普通な、私が嫌いそうな…!


「そうだ!」

「お、思いついたッスか!」

「うん。気に入らなかったらごめんなんだけど…。サウザーなんてどうかな?」


自信は一ミリも無かったので、チラリとサウザー(仮)を横目にする。目に映ったのは、満足そうに目を何度もぱちくりとさせる笑顔のサウザー(仮)だった。

「超嬉しいッス!期待以上の名前で、俺、ほんと嬉しい…。」

その顔を見て、自分の意見を圧し殺して良かった、と再確認した。

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