《MUMEI》

「おっし!それじゃあご主人!次は自分の名前ッス。何が良いッスか?空中に書いてくれれば後は僕が読み取ります。じっくり考えて下さいね。」

「ぐふぅ!」

あまりのカウンターの多さに、悲しくなってきた。

そんなに私のセンスの悪さを知らしめたいか、このゲーム!

という私なので、考える事は何も無い。

「サ…ヤっと。はい、完了。」

本名を空中に描く。すると、サウザーが目を閉じ、ほんのりと青白く光を放ち出した。

「サウザー?」

呼び掛けるが、返事はない。目を逸らさずにいると、目を閉じたままのサウザーの周りを、データの様な文字の羅列が埋めつくした。

「ぷはっ!サヤでいいんスね?」

そう言うと、データはふっと消えていった。

「あ、うん。」

こくりと頷くと、サウザーは再び目を閉じた。しかし、今度はすぐに目を開き、にこりと目尻を下げた。

「じゃあ、ご主人!これから、このサウザーめを宜しくお願いします!」

「こちらこそ、宜しく。」

微笑むと、代わり映えの無かった空間に、一筋の光が差し込んだ。

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