《MUMEI》
――車の中でもファミレスでもありきたりな会話をする。
本当に気がねの無い気さくな人だ。
年は36歳、出身は福岡…独身らしい。
身長は俺と変わらない感じだけど、幾らか自分よりガッチリしてる感じ。
良くみると目鼻立ちは、はっきりしていて整った顔をしているのに、
髪型と服装がいけないのか二枚目には決して見えない…。
天然パーマなのか何なのか髪は派手にぐるぐると乱れ、
どこのブランドなのか検討もつかない様な変な柄シャツを着ている。
「でさー、ゆうちゃんは彼女いるの?」
あっという間にゆうちゃんと呼ばれだす。
「いないですよー、俺モテないですもん」
「はは、んなこたねえだろ、より好みしすぎなんじゃねえのか?」
俺は残りのアイスコーヒーを一気に飲み干す。
庶民丸出しだけどドリンクバーは最低3回は行きたい。俺は立ち上がり
「はは、そんな事は…、伊藤さんは次何にします?」
伊藤さんは空のコップを俺に自然に差し出し
「おっ、サンキュー!俺はまたアイスコーヒーでイイや。なあ、このイチゴパフェ食ってみね?」
伊藤さんは立掛けてある新作オススメメニューを指差している。
「わー、それまだ食べてないし食べる!」
伊藤さんは呼び出しボタンを押した。
俺はドリンクバーへと向かう…。
――俺はまだこの時点では気が付いていなかった……
―――この僅かな想いに……
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