《MUMEI》 プロローグその日、私はいつものように、自転車を漕いでいた。 なんでって、学校へ行くため。 そして、私は今日の部活の時間に思いを馳せながら、信号が青になるのを待っていた。 ちょうどその時。 遠くの方から、バンッ!という何かが勢いよくぶつかるような音がした。 …なんだろう? どこかで事故でも起こったのかな? その時は、あまり気にも留めなかった。 信号が青に変わり、私はまた自転車を漕ぐ。 時間は午前8時20分。 急がないと遅刻しちゃう! 担任は遅刻したらうるさいしなぁ… …あれ? なんか鉄みたいな臭いが…? …なんだろう。 さっき通った紅い車… 少しへこんでた。 それに、なんか濡れてたみたいだし… 雨、降って無いのにな…。 そんなことを考えつつ、私は少し寄り道する。 齋藤先輩の家の前を通るために。 遠くから、救急車のサイレンが聞こえた。 どんどん近付いてくるなと思ったら、私を追い越してどんどん先へ走っていく。 この道をまっすぐ………? まさか!? 唐突に不安になった私は、先を急いだ。 前へ |次へ |
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