《MUMEI》
accident〜事故〜
一生懸命に自転車を漕いだ。

そして見えてきた。
齋藤先輩の家。

もし私の勘が、不安が、的中していたら、どうしよう。

そう思いつつ自転車を漕いでいると…

ある光景が目に入った。


血で紅く染まったアスファルト。
救急車がやって来て、誰かを乗せようとしている。
群がる沢山の野次馬たち。
道端に倒れている、形が歪んでしまった自転車。



あの自転車。
見覚えがあった。

あれは…齋藤先輩の、自転車だ。

嘘だ…
そんなこと…。

いや。
もしかしたら、先輩の自転車によく似た自転車に乗ってる人が事故にあったのかも!
いや、絶対にそうだ!

そう、私は思い込むことにして、学校へ急いだ。

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