《MUMEI》
旅立ちと別れ
石が出現する場所はいつもバラバラ。
雪山や、火山、酷い時は民家の屋根に突き刺さっていたこともある。

だが、数は7個と決まっていた。

『レクス兄さん……』

弱々しい声で自分を呼ぶ……。

『一人に……しないでっ……!!』

病気になった弟を置いてきた。
懇願する声がよみがえる。

ここは、町の外れの街道。レクスは夜空を見上げた。
細い三日月と無数の星々。

弟を救う為だと自分に言い聞かせ、迷いを断ち切るように

再び歩き出した。

後ろからは弟と二人で住んでいた街の、にぎやかな声だけが聞こえていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫